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AIでEAを作って1年。バックテストに頼るのをやめる、と決めた話

AIと一緒にEA(自動売買プログラム)を作り始めて、ちょうど1年になります。今日は、この1年で一番大きく考えが変わったことを書きます。

1年前:ChatGPTで100本以上作った

最初に使ったAIはChatGPTでした。やり方はシンプルです。AIにアイデアを渡し、MT5(取引ソフト)用のプログラムを書かせ、バックテスト(過去のチャートで「もしこのEAを動かしていたらどうなっていたか」を計算する機能)で数年分を回す。パラメータ(EAの設定値)を最適化する。成績が良ければ「できた」と思う。

この繰り返しで、1年間に100本以上のEAを作りました。バックテストの成績表はどれも立派でした。数年で資金が2倍、3倍。最大ドローダウン(資金が一番減ったときの落ち込み幅)は1桁パーセント。こんなにうまくいくのか、と何度も思いました。

でも、その100本のうち、実際のお金で安定して動かせたものは1本もありませんでした。ChatGPTが悪いというより、当時の自分の使い方が「良い成績表を作る」ことに向いていた、というのが正直なところです。

今年:Claudeに乗り換えて、やっと実用に乗った

2026年に入ってClaudeに乗り換えました。変わったのは、プログラムを書かせるだけでなく、「テスターを自動で回す」「取引ログを読ませて事故を見つける」「毎週の成績を集計させる」といった、運用そのものを任せられるようになったこと。ここで初めて、EAが実際の口座で動き続ける状態になりました。いま稼働している11本は、全部この半年で作ったものです。

それでも、今のチャートでは通用しなかった

ただし、実用に乗った後も、同じ壁にぶつかりました。実際のお金で動かすと、ほぼ例外なく成績がバックテストから離れていく。ポンド系(GBPUSD・GBPJPY)は2敗で撤退。ロンドン時間のブレイクアウト(値動きが一定の幅を抜けたら乗る手法)は打ち切り。1分足のモメンタム(勢いに乗る手法)は出口の設定を100通り以上試しても、検証に使っていない期間では全部赤字。バックテストで一番きれいだったEAほど、実戦で早く崩れました。

原因は、今なら言葉にできます。カーブフィッティング(過去のチャートにぴったり合わせすぎて、過去でしか勝てないEAになってしまうこと)です。パラメータを削り込むほど、「過去のチャート専用のEA」になっていく。バックテストの成績は「そのEAが過去にどれだけ合っていたか」を示しているだけで、「これから勝てるか」とは別の話でした。

厄介なのは、AIがこの作業をものすごく得意なことです。設定の候補を出し、結果を読み、次の候補を提案する。速くて、疲れなくて、いつでも「もっと良い数字」を出してくる。人間が手でやっていた頃より、はるかに深く過去に合わせてしまう。AIでEAを作ると、カーブフィッティングが加速する。これが1年かけて学んだ、一番痛い事実です。

検証を厳しくしても、足りなかった

8月に鉄則10か条を書きました。実ティック(実際に配信された細かい値動きのデータ)で検証する。検証に使っていない期間(作った後の「未知の期間」で、本当に通用するかを試す)を必ず置く。1回の取引で得られる利益が、取引コスト(スプレッド=売値と買値の差)の何倍あるかを見る。これらは今も守っています。ダメなEAを弾くフィルターとしては機能しています。

でも、鉄則を通ったEAが「これからも勝てる」保証にはならない。「未知の期間」といっても、それは少し前の過去でしかない。相場の性格が変われば同じことが起きる。8月に合格したEAが、9月の上下に揺れる相場で削られている。バックテストの精度を上げる方向には、もう限界があると感じました。

判断:バックテストに頼るのをやめる

EAは「完成」させるものではなく、「今の相場に合わせて更新し続ける」ものだと考える。

具体的には、ラボの運用をこう変えます。

  • バックテストは「壊れていないことの確認」にだけ使う。 プログラムにバグがないか、取引コストに対して利益がまともか、致命的な損失が出ないか。それ以上の「予測力」は期待しない。設定値を磨いて成績表を良くする作業はやめる。
  • 判断の主軸を実際の取引に移す。 最小の取引量で動かし、毎週の監査(取引ログの点検)で「今の相場で機能しているか」を見る。バックテストとの差は追い続けるが、差が出たら「バックテストのほうが間違っていた」と受け止める。
  • 常に今に合わせてバージョンアップする。 直近の相場で崩れている部分を特定し、小さく直し、また動かす。SmaFlipというEAが8月17日から4週間でv2.10からv2.34まで6回更新されたのは、結果的にこの形だった。これを意図的にやる。
  • 複数のEAを同時に動かし、合わないものは止める。 1本のEAを完璧にするのではなく、相場の性格ごとに得意なEAを持ち、機能しなくなったものを外す。全体で適応する。
  • 「常に動かす=常に見る」にする。 自動売買ボタンが切れていた事故や、同じEAを2枚重ねて動かしていた事故のような運用ミスを毎週潰す。売買ロジックより先に、運用の仕組みが成績を決めている。

AIの使い方も変わる

AIは「成績表を良くする機械」ではなく、「毎週の監査と改修を一緒に回す相棒」として使う。ログを読ませ、今週崩れた原因を特定させ、修正案を出させ、小さく直す。この1週間サイクルを回し続けることが、バックテストを何年分回すより価値があると、今は思っています。ChatGPTで100本作った1年と、Claudeで11本を動かし続けた半年を比べて、そう確信しました。

正直なところ

「バックテストで優位性を確認してから実際のお金で動かす」という正攻法を否定するのは、少し怖いです。それをやってきた1年を否定するようでもある。でも、1年分の成績表と、1年分の実戦の結果を並べれば、答えは出ています。

これからのラボの記録は、「完成したEAの成績」ではなく「更新し続けるEAの履歴」になります。バージョン番号が上がるたびに、何を見て、何を直したかを書いていきます。

1年目の結論として、ここに残しておきます。

BANDANAN AI FX LAB
このラボの記録は、毎週更新しています
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