【AI直接売買 #3】合格した戦略を3日で止めて、バックテスト無しの「RangeBreak-Live」へ

TRACK B — AI直接売買

この記事は、MT5のEA売買(トラックA)とは別の口座・別の仕組みで動かしている「AI直接売買」の記録です。ClaudeがOANDAのAPIを通じて直接発注しています。仕組みの全体像はAI直接売買とはをご覧ください。

前回、約260通りの検証を経て残った週次の平均回帰ルール「M1」を、9月8日から実弾で走らせ始めたと書きました。9月11日、そのM1を止めました。ポジションは決済済み、口座はいったん空です。3日です。

なぜ「合格した戦略」を止めたのか

M1に問題が出たわけではありません。止めた理由は、この実験の目的に立ち返ったからです。

このトラックの問いは「AIの直接判断は、固定ルールのEAより精度が高いのか」でした。ところがM1は、週に1回プログラムが目標ポジションを出し、AIは「中銀会合のあるペアを外す」拒否権を持つだけ。年8%を狙うゆっくりした戦略で、AIの判断が入る余地がほとんどない。堅実ではあるけれど、これではEAトラックと本質的に変わりません。「検証に通ったルールを実行する装置」を、もう1つ作っただけです。

もうひとつ、資金の問題。約30万円の口座でAPI利用条件の25万円ラインを守りながら、M1ともう1本を並走させる余裕はありませんでした。Claudeは別のサブ口座を作ることを勧めましたが、いま試したいのは1本です。

それで、M1を止めて、次の1本に口座を明け渡しました。

RangeBreak-Live:バックテスト無しで走らせる

新しく走らせるのは「RangeBreak-Live」。設計はこうです。

エントリー:MT5用EAのロジックをそのまま移植

MT5用に書いた「RangeBreak_USDJPY」というEAの入り口のロジックを、Pythonに移しました。直近30本の15分足の高値と安値でレンジを作り、確定足の終値がレンジの上端を超えたらロング、下端を割ったらショート。次の足の始値で成行。

フィルターは3つ。レンジ幅が日足ATR(1日の平均的な値幅)の半分以下であること(狭いレンジからのブレイクだけ取る)。スプレッドが3pips以下。金曜の深夜以降は新規なし。対象は28ペア全部で、15分ごとに全部見ます。候補が複数あるときは「レンジ幅÷ATR」が最も小さいものを1本だけ取る。アルファベット順で先頭を取るような隠れた偏りは排除しました。

ここまでは、AIの判断は入っていません。EAと同じ固定ルールです。

手仕舞い:ここだけAIが判断する

AIの出番は出口です。ポジションを持っている間、15分ごとに別のAIエージェントがウェブでニュースを集め——中央銀行、経済指標、要人発言、地政学——「持ち続ける」か「今閉じる」かを判断します。理由、確信度、参照した過去の教訓の番号を毎回記録します。

このエージェントにできるのは「閉じる」だけ。新規注文、ロットの増減、ストップロスの変更はできません。コードでそう制限してあります。

コードで強制する安全装置

  • 1回のエントリーで失える最大額は口座の5%。ロットはそこから逆算し、毎回その時点の口座残高で計算し直す
  • 災害用ストップロス(200pips)を必ず付ける
  • 保有は最長24時間。時間が来たらAIの判断に関係なく閉じる
  • 金曜は持ち越さない
  • 同時保有は1本(口座が40万円を超えたら2本)
  • API利用条件の25万円ラインを割る可能性がある注文は出せない
  • やめる条件:累積−25%、または25万円ライン割れで停止

5%は、EAトラックの1.5%よりずっと大きい数字です。これは意図的で、このトラックの資金は「失っても生活に影響しない範囲」と決めているからです。最初は10%と言っていたのをClaudeとやり取りして5%に下げました。

「バックテスト無し」の意味

この構成は、バックテストをしていません。できない、が正確です。出口を「ニュースを読んだAIの判断」にした時点で、過去データで再現する方法がない。

前回の記事で、260通りのバックテストから学んだことを書きました。「検証期間を使い切ったあとの未知データは、これからの実弾しかない」。そしてEAトラックでは「バックテストに頼るのをやめる」と決めました。RangeBreak-Liveは、その2つの結論を最も極端な形で実行したものです。過去で測れないなら、これからで測る。ただし小さく、やめる条件を先に決めて。

測り方も決めてあります。エントリー信号の成績と、手仕舞い判断の成績を分けて記録し、100エントリーで評価する。手仕舞いについては「実際の損益」と「あとから見た最適な手仕舞い」の差をpipsで記録し、10トレードの移動平均が縮まっていくかを見る。縮まらなければ、「ニュース判断には情報がない」という結論になります。それはそれで、この実験の答えです。

勝ちからも負けからも学ばせる

走らせる直前に、もう1つ仕組みを足しました。手仕舞いエージェントに「経験値」を持たせることです。

  • 決済から24時間後、振り返りエージェントが「実損益と最適な手仕舞いの差」「各判断の正誤」「その時点の情報で判断できたか(後知恵と区別する)」を書き、教訓を1行追記する
  • 手仕舞いエージェントは判断のたびに、蓄積した教訓の全文を読み、似た状況を明示的に引く
  • 金曜に、3件以上で繰り返し確認できた教訓だけを「原則」に昇格させる。原則は10個まで。原則ごとに適用成績を追跡し、悪化した原則は削除する
  • 学習で変えていいのは「持つか閉じるか」だけ。24時間・ストップロス・ロット・エントリー条件は学習の対象外

「後知恵と区別する」の1行が、いちばん大事だと思っています。あとから見れば何でも言える。その時点で手に入った情報だけで判断できたことだけを、教訓として残す。

最初のドライラン

9月11日午前、発注しないモードで走らせたところ、28ペア中ブレイクが10件、フィルター通過が5件。全部買いで、うち3件がNZD絡みでした。ここで「同じ通貨・同じ方向を重ねない」というルールを追加。信号から1本以上経過した古い候補は取らない、というルールも足しました。

その日のうちに実弾を承認し、15分ごとのループを登録しました。

これから

ここから先は、EAトラックの週次レポートと並行して、このトラックの経過も書いていきます。AIの手仕舞いが機能しているのか、教訓は溜まっているのか、口座はどう動いたのか。100エントリーに届くまでは「途中経過」ですが、途中経過こそ残しておきたい。

MT5のEAが11本動いている口座と、AIが直接発注している口座。同じ人間が、同じAIと、まったく違う2つの方法で同じ相場に向き合っています。どちらが残るのか、両方残るのか、両方消えるのか。それを見届けるのが、このブログです。

BANDANAN AI FX LAB
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